相手の言葉を聞き返したり、発言を聞き間違えたりしたことは、誰しも経験があることですよね。
しかし、あまりにも頻度が高い場合はAPD(聴覚情報処理障害)の可能性があります。
ご自身が「言葉を聞き取るのが苦手」で悩んでいる方もいれば、あなたの身近に上記の特徴に当てはまる方がいて悩んでいるケースもあると思います。
今回は「言葉を聞き取るのが苦手」な症状について調べましたので、詳しくは以下をご覧ください。
言葉を聞き取るのが苦手なAPDとは?
APDとは「聴覚情報処理障害」とも呼ばれ、「聴覚検査では異常がないにも関わらず、聞き取り困難を有する障害」のことです。
Auditory(聴覚)・Processing(処理)・Disorder(障害)の頭文字を取ってAPDと読んでいます。
海外では研究が進んでいるものの、まだ解明されていないことも多く、日本では決して知名度が高いとは言えません。
まだまだ研究途上の症状のため、日本でAPDの診断や治療を行っている医療機関はほとんど無いのが現状ですが、「言葉を聞き取るのが苦手」なことに対して人知れず悩みを抱えている人がいるのもまた事実です。
言葉を聞き取るのが苦手になる原因は?
現段階でAPD(聴覚情報処理障害)を引き起こす要因と考えられているものは4つあります。
- 何らかの発達障害を併発している
- 認知的な偏りがある(注意力や記憶力に偏りがある)
- 心理的な問題がある(ストレス)
- 脳に損傷がある
あくまでも現段階の話なので、研究が進むにつれて新たな原因が判明する可能性も考えられるでしょう。
APD(聴覚情報処理障害)の主な症状
APDは人によって症状や程度に違いがありますが、概ね共通しているのは以下の点です。
聞き返すことが多い
聞き間違いが多い
賑やかな場所では特に聞き取れない
口頭で言われると理解できない・覚えられない
聞いた数字を間違えて発注した、口頭での指示が理解できずミスをしたなどの経験が多く、賑やかな場所では話についていけない、聞き返してばかりで変な顔をされた、などの周りとの違和感にも苛まれやすいようです。
他にも、
複数人での話になると聞き取れない
電話やインカムを通した声が苦手
話が長いと内容が分からなくなる
なども訴える人が多い症状です。
会議での様々な発言を聞き取れない、電話応対や無線を使用した連絡でミスが多い、などが上記のケースに当てはまります。
何人かのグループで話す・電話に出る・話が長くなる・などは日常生活でも良くあることですが、言葉の聞こえ方に関する特徴が周りから理解されずに苦しむことがあるようです。
なぜ周りから理解されにくいのか?ですが、「聴覚は正常で、読み書き・発話が正しくできるのに聞き取りが困難」であることをイメージできない人もいます。(APDの症状を話しても中々想像できず、理解することが難しいのだと思います。)
言葉を聞き取るのが苦手な人に適した仕事環境
APDの人は以下のような仕事環境が適しています。
・一人で行うことが多い仕事
・静かな環境で行える仕事
・電話応対や無線連絡が少ない仕事
・メールや手紙など、文章での連絡が多い仕事
「言葉を聞き取るのが苦手」なAPDの人は、静かであまり大勢の人とは関わらず、文章連絡が多い環境が適していると言われています。
静かとは正反対の賑やかな場所では自分の能力をうまく発揮できません。
したがって、居酒屋やファミレスなどの飲食店ではかなり苦労すると思います。
工場も、機械の音がひっきりなしに聞こえることが多いので「賑やかな場所」と言えるかもしれません。
コールセンターのように電話応対が多い仕事は、機械を通した声の聞き取りが苦手な方は避けた方が良さそうです。
APD(聴覚情報処理障害)の人が日常で努力していること
APDの人はなるべく正確に言葉を聞き取るため、日常的に努力していることや気をつけていることがあるそうです。
・聞き取れなかった箇所は後で聞き返す
・メモを取る
・復唱する
・聞き間違い防止のため、メールを送ってもらえるように相手にお願いする
・会議にはボイスレコーダーを持参して、後で聞き直す
・電話着信時は、静かな場所に移動してからかけ直す
・少人数での会話を心がける
・映像講義ではなく、テキストで勉強する
上記はほんの一例ですが、APDの人は「自分は言葉を聞き取るのが苦手だ」との自覚があるため、人一倍努力して人の話を真剣に聞こうとします。
言葉を聞き取るのが苦手な人の為にできること
言葉を聞き取るのが苦手なのはその人を形成する多くの要素の一部分であって、「○○に関しての高いスキルがある」「自分には無い良いところを持っている」など、その人の良い部分に着目すると、組織やコミュニティーがもっと健全に成長していくと思います。
「あの人が私の話を理解してくれなかった」と言うのは簡単ですが、自分の方で「どうしたら相手に正確な情報が伝わるか?」を意識しながら話をすることも大切です。
物事を正確に伝えるために、
- 口頭では無くメールやメモ用紙で伝える
- ジェスチャーを交える
- 周りの音や自分の声量に注意する
- 会議や連絡に便利なツールは積極的に導入する
上記のような方法がおすすめです。
口頭では「言った・言わない」のトラブルになりやすいので、重要なことは記録に残すことを常態化しておくと、お互いにとって仕事や会話がしやすくなるでしょう。
相手が誰かに関係なく、「相手に正確に伝わるような話し方ができているか?」と自分に問いかけながら話をすることは大事なことだと思います。
まとめ
・聴覚検査で異常なし(言葉の聞き取りが困難)な場合はAPDの可能性がある
・APD(聴覚情報処理障害)は今後の更なる研究の発展に期待
・言葉を聞き取るのが苦手な人には静かな環境や文章連絡が適している
・話す相手が誰であっても、「正確に物事を伝えることができているか?」を考えながら連絡・会話をすることで物事が円滑に進みやすくなる